ブログ「羽鳥操の日々あれこれ」より
2012.3.8
今日は球形から円柱形のイメージで逆立ちをするというお話。
ずっと参考書にしている『生物学的文明論』本川達雄著新潮新書。第五章「生物の形と意味」のなかの小見出し「球から円柱形への進化」をヒントにしたい。
生物がなぜ・どのように円柱形に進化してきたか。
単細胞生物から多細胞生物に進化した初期の頃は、おそらく生きものの形は、球形をしていたと考えられる。それが進化の過程で新しい機能を獲得し、新たなタンパク質や新たな種類の細胞を容れるスペースが必要となる。それには体のサイズが大きくなるのが必要不可欠。実は球形は一番強い形だが、体積あたりの表面積は一番小さい。そこで表面積を増やす為に球形が伸びて円柱形にならざるを得ないのが、進化の方向における必然ということになる。
ピンと来ましたね。
と同時に野口流のイメージ「頭の中心点、一点を探る」ことにこだわりすぎていた、と反省もした。この一点イメージは従来のヨガ逆立ちちのやり方との比較では、重要なポイントではある。しかし、それに加えてこの本のなかで著者が語っている次の言葉をイメージ加えてみた。違うんです。これが。
《進化の歴史は、いろいろなことができるようになる、つまり新たな機能の獲得の歴史と見ることができますが、それは視点を変えればサイズの増大の歴史としても眺めることができるでしょう》同上、106㌻より。
具体的には球形から円柱形への体形の変化である。
そこで本日は進化をたどる逆立ちイメージを持ってみた。
野口流ヨガ逆立ち法をご存知の方は、立っていく過程の形の変化を思い出してほしい。
最初は床に伏せるように丸くなる、つまり球形の姿勢をとっている。
次に頭の天頂を床との関係のなかでさぐりながら腰を浮かしていく。
すでにそのとき胴体は背中側に少しだけ膨らんだ円柱形に変形している。
で、腰を高いとこに保ちながら、つま先を床に立てた状態で、一歩ずつ胴体に近づける。このときできれば背中側が緩められていることが肝心。そこで昨日のバランスを保つ為には、腹側がすこし“張り感”を維持しているといいと思う。
相当に腿が胴体に接近してきたら、ふわっと腰が浮き上がる感じが生まれる。そこで骨盤全体の半回転が自然に起こる。液体のなかで丸いものが、くるっと回転するような感じだ。
そのときの頭から胴体全体は、すでに円柱形をしっかりつくりあげている。
ここまでの進化の過程を静かにゆっくりじっくり味わうことができたらいい。
あとは腰の力が完全に抜ければ、脚は胴体から新しく生まれて、上方(鉛直方向感が大事)へ伸びていく。
胴体は勿論のこと、脚も円柱形、頭を包み込んでいる腕も円柱形のイメージがもてたら素晴らしい。
このとき背中側は脊柱が支えとして通っている。そのことを考慮して、腹側も緩みっぱなしではなく多少の張り感を持たせて、腹と背のバランスをとりたい。するとより綺麗な円柱形に整ってくる。
で、この円筒状の真ん中には、液体が詰まっていて、それ自体もミミズの静水骨格のようにしっかり保つ働きが生まれると、もっと安定する。
まとめると次のようになる。
薄いコピー用紙を平たいまま立ててみるとすぐさま崩壊して立っていられない。しかし用紙をくるりと巻くと円柱形が生まれ、しっかり立つわけだ。人間の体の場合、実際には脊柱も重さを受ける。しかしもっと安定感をもって形を保つには、腹側と背中側の筋肉が、縦にも横にも斜めにもぐるりと張り巡らされている状態をイメージして、薄い紙を円柱形に巻き込んだときを想い描いてみる。
そこまでくると大事なことが浮かぶ。
巻かれている筋肉・縦軸方向に走る筋肉・斜めに筋交いとしてある筋肉、それらのどこか一カ所でも極端な厚みがあるとバランスが崩れる。まったく均等に薄く平に伸ばされたシート状の筋肉が円柱をつくるイメーイが大事だ。
つまり体の真ん中に、バランスのよい空洞をつくる。
そしてそこには体液に浮いている内蔵がある。それをさらに単純化して“液体(水)”によって満たされている“円柱形”のイメージを胴体にもってみよう。
まとめると、頭の一点に乗せていく求道的で究極的なあり方も魅力的だが、もっとおおらかに球体から円柱形に進化をとげる生きものの歴史を短時間で生きる、って感じで「真っ逆さまの世界」を試してみてください。
今度の土曜日は、イメージがいろいろ複雑に絡まって、難しくなりそうかな~?(書きながら思ったこと)
内々の希望:詳しくは『生物学的文明論』を、読んでください。まずは、第四章、第五章だけでもね!